テニスの反則、つまりはルール外のことをした場合の取り決めについて説明します。
オンプレー中の反則は、失点要因となることが多いのでルールと合わせて他記事で知らずしらず解説しています。アウトやフォルト、フットフォルト、ネット、タッチ(ボールが身体に触れたりネットタッチしたりすること)、ノットアップ(2バウンド)、ファールショット(故意の二度打ちやオーバーネット)等があります。これらを反則と呼ぶのが妥当かどうかは微妙なところです。
なのでここでは、試合外の反則や、試合中でもプレーとプレーの合間の反則、すなわちコードバイオレーションについてメインで取り上げます。
コードバイオレーションで特にプロの試合でよく見かけるのがラケットの破壊。。錦織選手も時々派手に叩きつけたりしてますよね。
アレをすると、当然警告やら失点やらもあるんですが、別の側面としてスポンサー(ラケットメーカー)への謝罪や、契約書で取り交わされた違約金の支払い等が発生します。トッププロになると一度のラケット破壊で数千万円の違約金に上ることも。。さらには審判団から要注意選手と見られ、心証が悪くなったりと悪いことづくめです。
一般プレーヤーに賠償責任などはありませんが、試合に響くことは確かなのでざっと確認しておきましょう。
コードバイオレーション
テニスでは「コード・オブ・コンダクト(コード)」というマナーやスポーツマンシップに則った対応をするための事項が定められています。
このコードに違反することを「コード・バイオレーション」と呼びます。
コードバイオレーションするとどうなる?
- 1回目の違反で「警告」されます
- 2回目の違反で「相手に1ポイント」が入ります
- 3回目の違反で「相手に1ゲーム」が入ります。審判によっては「失格」となる場合もあります。
- 3回目の違反以降はその都度1ゲームを失うか、審判判断で失格かのどちらかです。
- 重大なコード違反(暴力等)の場合は、1回目の違反から失格となる場合もあります。
- 失格者はそのトーナメントでの賞金(アマチュアの場合は日当や経費)を失い、そのトーナメントの他種目への出場権を失います。
プロは生活がかかってますので、なかなか3回以上違反することはありませんが、不貞腐れた態度を取って警告(1回目の違反)、警告を出した審判に文句を言う(2回目の違反)といったコンボはたまに見かけます。
コードバイオレーションの種類
どういうことをするとコードに引っかかるのか、確認していきましょう。
時間厳守
試合時間に遅れることはあってはなりません。市の大会など、大した規模でなくてもたった5分の遅刻でWO(walk over, すなわち失格)となることもあります。そうでなくても5分遅れたらサーブ権を失う、10分遅れたら1ゲームを失うなど、大会ごとに取り決めがなされます。
服装と用具
当たり前ですが、私服やサンダルはNGです。最低限テニスウェアとテニスシューズは必須。着替えればOKだったり、失格になったりと様々です。細かいですが、ウェアの形や色が指定されることもあります。プロの場合は広告物(ロゴ)の大きさや形、色にも決まりがあります。広告費によって大きさが変わるのですから当然といえば当然です。
試合中に許可なくコートを離れる
一発で失格になります。
やる気がない、適当なプレーをする
適当なプレーをしていると警告されることもあります。
正当な理由なしに試合を途中棄権する
棄権というか失格になることもあります。
トーナメント公式行事に出席しない
開会式や閉会式、その他式典を無断で欠席することはできません。ペナルティが課される場合もあります。
試合の遅延行為
サーブ間の25秒ルール,チェンジエンド間の90秒ルール,セット間の120秒ルール、メディカルタイムアウトの手当完了後30秒以内にプレー再開、トイレットブレークで規定時間内に戻るなど、これらの時間制限を守らないと警告や失点に繋がります。
施設や設備の破壊
壁やベンチなどを傷つけてはいけません。
ボールの乱用
ポイント間にボールを地面に叩きつけたり、相手に不必要に投げつけたりしてはいけません。
ラケットの乱用
ラケットを地面に叩きつけたり、相手に投げつけたりしてはいけません。
言葉による侮辱
相手選手を罵ったり、審判を罵ったりしてはいけません。また、大声での威嚇行為も反則です。
身体に対する侮辱
相手の身体的特徴を捉えて侮蔑することは許されません。
放送禁止用語(卑猥な言葉や仕草)
女性が挑発したりするらしいのですが、ダメ、ゼッタイ!
試合中のコーチング
観客席からコーチがハンドシグナルで選手に指示を出したりしてはいけません。ただし試合が中断(サスペンド)されていて、選手が控室に戻る場合等は問題ありません。
チーム戦での妨害応援
チーム戦で相手を誹謗中傷するような妨害応援は禁止です。でもこれ、意外と判断が難しいような。。
スポーツマンシップに反する行為
その他、スポーツマンシップに悖る行為全般NGです。コードには明示的に定められていませんが、暴力行為等は以ての外です。
テニスおもしろルール20選
ここからは反則になったりならなかったりする、ちょっとお目にかかれないような面白ルールについて取り上げていきます。
いろいろありますが、きっと最後に紹介するルールはびっくりするんじゃないかな・・・(実用的な意味で)。
では、いきます!
- 相手にボールをぶつける
これは反則ではありません。ボールをぶつけたプレーヤーの得点になります。当てたもん勝ちです。露店の鬼の的当てゲームです。
ちょっと真面目に話すと、ボディショットは相手が返しにくい立派な戦術です。当たったら基本的に当たったほうが下手で悪いのです。
とはいえ、ラフプレーなのも確かで、万が一目に当たったりして責任取れんのかって話もあります。至近距離で顔面狙うようなやつは頭がおかしいです。
なので、実力差のある相手に不必要に使うべきでないことも確かです。もしぶつけてしまった場合は速やかに謝罪しましょう。
- 複数のラケットを持ってプレーする
これはダメです。試合に入れません。二刀流は夢のなかでやってください。
- ダブルスの試合に1人で参加する
これもダメです。試合に入れません。1対2は練習だけにしておいてください。
- プレー中に他のコートからボールが転がってきた、その他障害物が転がってきた
レット(ポイントレット※)がコールされれば、ファーストサーブからやり直しになります。審判が知らなければコールされないかもしれませんが、邪魔になったなら抗議してもよいでしょう。
※ポイントレットはサーブのレットと異なり、そのポイントのやり直しです。従ってファーストサーブをフォルトしていても、ファーストサーブからやり直しとなります。ただし、レットとコールされる以前にボールがアウトしてしまうと失点でハイ終了となるので、コート内にはなんとか返すようにしましょう。
- サーブ権決めのトスはウォームアップの前に実施する
サーブと合わせてエンド(サイド)を選択するので、選んだエンドでウォームアップできるようにするためです。
- 雨などでウォームアップ中にプレーヤーがコートから離れる必要が出た場合
天候やコートの状況が変わるので、トス時に決めた選択をウォームアップ再開時に変更することができる。再度のトスは行われない。
- セルフジャッジの試合ではサーバーがゲームカウントやスコアをコールする
サーブを打つ直前にコールするのですが、アレはマナーではなく「義務」です。
- プレーヤーの携帯がプレー中に鳴った
初犯だった場合、「警告」が課せられ、ポイントレットでファーストサーブから再開となる。二度目はもちろん失点となる。というかそもそも携帯や音楽プレーヤーなどの電子機器はコート内に持ち込み不可で、持ち込んで良いのは飲食物のほかにメモやペン、ノート等のみ。
- プレー中にボールが割れた
- プレー中にガットが切れた
見たことないですが、プレー中にボールが壊れたら、ポイントレットでファーストサーブからやり直しだそうです。
ガット(ストリング)が切れた場合は、基本的にそのポイントの終わりまでプレーを継続してからラケットを交換します。ファーストサーブで切れてフォルトになった場合は、ラケットを交換してからセカンドを打っても構いません(交換せずにポイントの終わりまでプレーしても構いません)。フォルトしたファーストサーブをレシーブして切れた場合も交換してもしなくても構わないですが、交換した場合は改めてファーストサーブから、しない場合は続きのセカンドサーブからとなります。
- オンプレー中にラケット・身体・服装・手に持っていたボールなどがネットに触れた
「タッチネット」で失点です。ポケットからボールが落ちて転がった場合でもタッチネットです。被った帽子が風で飛ばされてネットに触れてもタッチネットです。
打球後に勢い余ってラケットがすっぽ抜けてネットに触れてもタッチネットです。ただし、ネットに触れる前にエースとなったら、得点となりタッチネットにはなりません。
- ラケットを投げてボールを返球する
ラケットを手に持っていない状態で、そのラケットにボールが当たるとその時点で失点となります。
- ネット上縁を転がっているボールを打つ
打った時点で失点します。タッチネットしなくても失点します。
- 自コートでバウンドしたボールが相手コートに戻ったとき
ネット際に落ちたボールが風や回転で相手コートに戻った場合。この場合はネットを越えて打球しても「オーバーネット」とはならず、有効打になります。ただしタッチネットはしないように細心の注意が必要です。
- 打球が明らかにアウトなので手でキャッチした
友達同士なら問題ありません。公式試合なら当然失点です。ファイナルゲームでアウトボールを避けきれずに爪先にカツーンとやって負けたことが思い出される・・(*ノ▽ノ)
- ボールがポストの外側を通って相手コートに返った
スーパーショットです。拍手しかありません。
- ボールがポストに当たって相手コートに返った
サーブならフォルトです。しかし、サーブ以外では有効打となります。
- ボールがコート内に落ちているもう一球に当たった
横から邪魔が入ったでもなく、2球あるうちの1球がコート内に転がっていて運悪く打球がそのボールに当たった場合。この場合はボールもコートの一部とみなし、オンプレーとなる(レットにはならない)。
- 振動止めが飛んでいった
オンプレー中にネットや相手コートに触れたと確認された場合は、失点となる。しかしそのポイント終了時まで見つからず確認されなかった場合は、失点とはならない。
- ダブルスでペアの双方が同時にボールに触れた
失点になります。アニメの友情必殺技みたいなことはできません。
- 二度打ち
故意での二度打ちは当然失点です。しかし、一度のスイング中に意図せずボールがラケットに2度当たっても失点とはならずプレー続行です。
ワイは20番目の「二度打ち」にはたまげたわ!いままで失点扱いにしとったからな。。知らんやつも多いんとちゃうか?
さいごに
テニスのコードバイオレーションとおもしろルールをご案内しました。
あまり意識していなかったり、あまりお目にかかれなかったりで、よく知らないことも多かったんじゃないでしょうか。
特に全部覚える必要はありませんが、一般的に考えて「こうしたらどうなる?良くはないよな?」と考える頭を持つことです。
そうすれば満点ではないにせよ、自ずと70〜80点の答えは出るかと思います。