軟式テニスのバックハンドは硬式テニスのそれとは大きく違います。
軟式出身者が硬式をやるにあたって、特に苦戦するのがバックハンドです。
今回は軟式テニスのバックハンドが硬式テニスでも通用するのかどうか、経験則に基づいてお話していきます。
▼ 硬式テニスのバックハンドについて、1から学びたい方は以下の記事をどうぞ ▼
軟式テニスと硬式テニスのバックハンドの違い
まずはその違いから見直してみます。
ソフトテニスのバックハンドと、硬式テニスのバックハンドの違いを一言でいうならば、
打つ面が違う
ということになります。
ソフトテニスではフォアハンドと同じ握り、同じ面(手のひら側の面)で打つのに対し、
硬式テニスでは両手打ちでも片手打ちでも握りを変えて、反対の面(手の甲側の面)で打ちます。
硬式テニスのバックハンドはどうして裏面で打つのか?
ひとつずつ紐解いていくと、裏面で打つためには、グリップがコンチネンタルグリップでの握り(ラケットを包丁のように持つ握り)になります。
このような薄い握りは、打点を身体の近くに取ることができ、高い打点の処理も簡単になります。
軟式バックはフォアハンドと同じ、セミウエスタングリップやウエスタングリップのような厚い握りとなるので、基本的に打点はかなり前で取らないと力が伝わりません。高い打点もやってみるとわかりますが、とても難しいです。
硬式テニスではボールが重く、かつ弾むことが多いです。ラケットも倍くらいの重量があります。なので、軟式と同じ感覚で打つと、重いボールに差し込まれて振り遅れてしまったり、高い打点のボールにただ合わせるだけになってしまったりします。
また、シングルスの試合の多い硬式では、ペースを変えたり間を取るためにスライスショットを多様します。スライスショットはコンチネンタルグリップで打つので、同じフォームからスピンとスライスの両方を打つことが可能になるのです。
さらに、バックハンドでのアプローチショット後に、そのままネットに詰めたいとき、相手は足元を狙ってくることが多いです。ローボレーやハーフボレーを処理しやすいのもコンチネンタルグリップですので、スムーズにネットに詰めることができます。ここで軟式のバックハンドからの軟式のウエスタングリップでのボレーだと、重いボールに差し込まれてネットする可能性が上がります。
軟式テニスのバックハンドの特徴
これに対して、軟式テニスはボールもラケットも軽く、スピードや変化は強くてもボールが持ち上がらないということはあまりないかと思います。
硬式だと球威に押されてボールが持ち上がらない=スピンがかからずネットすることがよくあります。だから薄い握りで弾いて飛ばすわけです。
軟式ではスピンをかけすぎると、球威が落ちてしまうので、厚い握りでフラット気味に打つのが基本です。フォアでもバックでもそうです。
なので、ウエスタングリップで握って、例えるなら抜刀術のごとく、刀を鞘走りで加速させるかのごとく、剣道で抜き胴を打つかのごとく、ラケットを振り抜きます。
基本はクローズドスタンスで相手に背中を向けた状態から始まり、打点は軸足である右足よりさらに前(肘がほぼ伸び切った位置)でボールを捉え、軸足を中心にコマのように左足が前に出てきます。硬式のように身体の開きを抑えるために左手を後ろに伸ばしてブレーキをかける動作は見られません。
また、バックハンドにおいて身体の回転だけでなく、左足→右足への体重移動の力を多用するのも、軟式バックの特徴だといえます。
軟式バックと硬式バックの共通点
このように全く異なる軟式と硬式のバックハンドですが、共通点もあります。
ひとつは「縦面で振ること」。軟式でも硬式でもスピンをかけるために、ラケットは下から上へ振り抜きます。
ふたつは「肘を折りたたむこと」。テイクバックでは肘を身体に近づけるようにして、コンパクトに構えます。軟式でも硬式でも腕を拡げて打つフォアハンドより、可動域が狭く余計な動きのできないバックハンドのほうが、慣れてしまえば安定して打てます。
軟式のバックハンドは硬式でも通用するのか?
違いと特徴について掴んだところで、いよいよ本題です。
「軟式テニスのバックハンドは硬式テニスでもそのまま使えるのでしょうか?」
答えは「Yesであり、Noでもあります。」
- 軟式バックのトップ打ちで見事に高い打点を強打する人がいます
- テニススクールの中上級に通っているけれど、コーチから「君は軟式バックのままでいいよ」と言われた人がいます
- 硬式テニススクールのコーチの誘いを受けるくらいの実力だけど、基本は軟式打ち(硬式打ちもできる)の人がいます
さいごに
軟式テニスのバックハンドと硬式テニスのバックハンドの違い、そして軟式バックが硬式で通用するかどうかについて持論を展開しました。
結論、ソフトテニスのバックハンドを硬式でも使っている人は多数いますし、実際問題できないことはありません。
ただ、それに固執するあまり、できるかもしれないことを試さないのはおすすめしません。技術の幅が狭くなりますし、レベルが上がるほど徹底して弱点を突かれます。
それに折角硬式テニスを始めるなら、新しいことにチャレンジしたほうが楽しいと思いませんか?
身につけた技術がなくなることはないので、良いとこどりのハイブリッドでいきましょう。