テニスのフォアハンドで大切なものの1つがグリップ、すなわち握りです。
グリップをどう握るかによって、力の入り具合や打ちやすいボール、打ちにくいボールが変わります。
結論から言ってしまうと、フォアハンドのグリップといえばセミウエスタンが主流です。なんだかステーキの焼き方みたいですが、グリップの握り方の名称です。
覚えてほしいのは4種類ありますので、各グリップの特徴と握り方について解説していきますね(右利き想定です、左利きだと逆になります)。
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▼ フォアハンドの安定に向けたまとめ ▼
グリップが厚い、薄いってなに?
4種類のグリップに入る前に、グリップが厚いとか薄いとか聞いたことはないですか?
ステーキの厚さのことじゃないですよ。
厚いグリップというのがすなわちウエスタングリップのことで、地面に置いたラケットをひょいと拾い上げたときのグリップです。ラケット面は地面と平行です。ちょうどボールを打つ位置でボールに対して垂直に、最も力が伝わりやすいかたちで当たります。手のひらでボールをバチーンとビンタするイメージですね。
で、ここから時計回りに90度回転させたグリップが薄いグリップ、すなわちコンチネンタルグリップです。包丁持ちとも呼ばれます。包丁はまな板に対して垂直に立てて使います。つまりラケット面が地面と垂直になるグリップです。ウエスタングリップと同じように振るとボールに当たるのはラケットフレームです。ビンタは手刀になります。だから(面が)薄いグリップというわけですね。イメージとしてはハリセンで頭を叩くところを思い浮かべてみてください。
普通に考えると薄いグリップはフォアハンドには不向きというのは直感的におわかりいただけるのではないでしょうか。なぜって、フレームに当ててちゃボールは飛びませんからね。
なので、フォアハンドは厚いグリップが基本となります。とはいえ厚いグリップにもデメリットはあるので、厚いのと薄いのとの中間に位置するグリップが2つあります。
それがセミウエスタングリップとイースタングリップです。
ここね。
解説書みても、テニスのいろんなサイトみても、2,3種類くらいグリップの正しい握り分けについて書かれているんですが、ぶっちゃけよくわからん、未だにわからんのですよ。
よくあるのが、人指し指の付け根の部分をグリップの八角形のどこの角にあてるとウエスタングリップ、どこの面に当てるとイースタングリップってやつ。
わかります?
あとはラケットを握る手の親指と人指し指がつくるV字がどこの角にあたるとセミウエスタングリップ、どこの面にあたるとコンチネンタルグリップとか。
わかります??
私はいまだにわからない!
ぶっちゃけラケットの種類によってグリップの形も正八角形だったり、横長だったりしますし、上からオーバーグリップ巻いてると角が丸まって見えなくなったりと、セミウエスタングリップと一口にいっても感覚的に微妙に異なるはずなんですよね。
なのでもう、ここらへんは感覚的にいきますし、初心者の方にはそのほうが迷わずに済むかと思います。
こう覚えてください。
ウエスタングリップ(地面と平行)を0度として、反時計まわりに30度回すとセミウエスタングリップ、60度回すとイースタングリップ、90度回すとコンチネンタルグリップ。
ウエスタングリップで握って打点にラケットを持っていくとボールに垂直に当たると思います。そこから反時計まわりに回していくことで、ボールに当たる面が薄くなっていくということです。
これで結構です。あとは自分にとってしっくりくる位置になるよう5度とか10度回して持ってみてください。
余談やが90度の持ち方をイースタンっていう人もいて、特に軟式の人に多いんやけど。直感的にいえば、ウエスタンが西を意味するから90度まわしたのはイースタン=東やってなるのもよくわかるんやけど。
なんでコンチネンタルって言う人がおったりイースタンって言う人がおったりするのか考えてみると、思うに先の2つのグリップの持ち方の説明がこんがらがってる弊害なんやないかな。包丁持ちはコンチネンタルなんやけど、V字の考えでいくと90度の位置にV字がくるのはイースタンやったりするんや。気になる人は調べたら図出てくるけど、わいの言う0度・30度・60度・90度くらいのざっくりした考え方で十分やで。
あとは。。
反時計まわりに回すことで厚いグリップが徐々に薄くなっていきます。ということは裏面を使って打つバックハンドの場合は、時計まわりに回すことで徐々に薄くなるわけです。
フォアのグリップ:厚い(時計まわり)⇔ 薄い(反時計まわり)
バックのグリップ:薄い(時計まわり)⇔ 厚い(反時計まわり)
で覚えてください。
まとめると、
ウエスタングリップを0度として、反時計まわりに30度回すとフォアハンドセミウエスタン、60度回すとフォアハンドイースタン、90度回すとコンチネンタル
ウエスタングリップを0度として、時計まわりに30度回すとバックハンドセミウエスタン、60度回すとバックハンドイースタン、90度回すとコンチネンタル
ということですね。
あくまで0度〜90度の範囲、ウエスタン〜コンチネンタルの範囲で考えてくださいね。それ以上まわると頭がこんがらがっちゃうので。
余談ですが、フォアハンドのウエスタンをさらに厚くしたエクストリームウエスタングリップなるものもあります。時計まわりに5度とか10度回すので、フォアでは面がやや上向き、バックだとセミウエスタンに近いグリップになります。錦織選手はこれに近いのですが、極端に厚く握るため打ち方に工夫が必要で手首に負担がかかりやすいです。なので、ここでは割愛します。
では、そろそろ4種類のグリップの特徴を説明していきますね。
ウエスタングリップ
0度。最もベーシックな握りです(錦織選手など)。厚いグリップは身体の回転を受けてラケット面が自然と出てくるので、回転運動に向きます。つまり、スピンがかけやすいのです。
打点もスピンが掛かりやすい「前」で捉えるのが良く、「高い」打点からの強打も苦にしません。
肘は軽く曲げる「ダブルベント」となり、無理のない打ち方ができます。
デメリットは肘が曲がるゆえにリーチが少し短くなることと、低いボールが処理しづらいことが挙げられます(スピンをかけるための高さが足りないためボールが持ち上がりにくい、ローボレーになるとネット一直線笑)。
セミウエスタングリップ
30度。いま最も主流な握りです(ジョコビッチ選手やナダル選手など)。最もオールマイティなグリップだといえます。スピンもかけやすく、低い打点をフラット気味に捉えることもしやすい。
肘も負担の少ないダブルベントです。ウエスタン〜セミウエスタンで、しっくりくる位置をフォアハンドのグリップとすることをおすすめします。
セミウエスタンで握るときは、ラケットをひょいと拾い上げたウエスタンから30度時計まわりにひねってもよいですが、左手でラケットを0度になるように立てて持ち、右手をラケット面にピタッと合わせてそこからスルスルとグリップまで自然に這わせて握る方法もあります。右手を下ろしてきたとき、人差し指がグリップ上部に沿った状態になるので、そこからウエスタンと同じように握ります。
イースタングリップ
60度。昔、主流だった握りです(フェデラー選手など)。面がかなり薄いため、回転運動で打つより後ろから前への体重移動で打つかたちになります。
スピンがかけづらい反面、フラットが打ちやすいのが特徴で、カウンターパンチャーと呼ばれるプレーヤーに多く見られます。また、ボールコントロールがしやすいのも特徴といえます。
「低い」弾道を苦とせず、相手の伸びのある強力なショットにライジングで素早く対抗するのに向きます。打点は「後ろ」のほうです(身体の真横よりは前)。
肘は真っ直ぐに伸ばして打つ「ストレートアーム」となり、リーチを活かし遠心力を利用したパワーショットが放てます。ただ、ガタイの良くパワーのある選手でないと故障(テニス肘)しがちです。
デメリットはスピンがかけづらいこと、高い打点が苦手なことです。
昔はラケットが重い上に木製だったため、ボールが飛びませんでした。なので、イースタングリップでフラット気味に当てないとテニスにならなかったのです。しかし、いまはラケットは軽量化しボールもよく飛びます。なので、ハッキリいってフォアハンドにイースタングリップはおすすめしません。とはいえ、フェデラーはイースタングリップだったりするので、憧れがあるならチャレンジされてもいいかもしれません。イースタングリップで打つ時は、体軸の回転より体重移動を意識しましょう。
わいがソフトテニス始めたときに、先輩から体重移動で打つように習ったんやな。でも、グリップはウエスタングリップやったんや。いま思えばミスマッチやな。
多分先輩が中学生のときに、イースタングリップ+体重移動打ちの先生から習ったんやけど、グリップだけウエスタン主流になったんでそれに変わってて、体重移動打ちだけ残ってまったんやろうな。
まぁ軟式やと硬式よりフラット主体やし、ラケットの軽量化でフラットドライブ気味に打つにはウエスタンでも良かったんかもしれんけどな。
コンチネンタルグリップ
90度。サーブやボレー、スマッシュ向きのグリップです。フォアハンドストロークでここまで薄くすると手首痛めます。
サーブを打つ時、より強力な回転をかけたいプレーヤーはイースタングリップを使うこともありますし、非力な人はイースタングリップでボレーやスマッシュしたほうが上手くいくこともあります。
とはいえ、最も手首が柔軟につかえるグリップはコンチネンタルグリップです。
いかがでしたでしょうか。
フォアハンドのグリップなら、ウエスタン〜セミウエスタンがおすすめです。
しかし、テニススクールによってはボールコントロールがしやすくフラットに打ちやすいイースタンから教えて打感に慣れてもらう場合もあるようです。グリップチェンジが必要な場面も多々ありますので、それぞれのグリップに慣れていきましょう。
グリップの握り方について
大事なことをひとつ忘れていました。
グリップを握るときの手のかたちについてです。
握り方は2種類あって、それぞれハンマーグリップ・ガングリップと呼ばれます。
ハンマーグリップとは、ハンマーを握るかのようにぎゅっと握りこぶしをつくる握り方のこと。対してガングリップとは、人差し指と中指を少し離してピストルを持つような握り方のことです。
ガングリップのほうが手首や指先を柔軟に使えるので主流ではありますが、逆にいえばハンマーグリップのほうが手首を傷めにくい打ち方になります。また、グリップ端ギリギリを握ることによってハンマーグリップでも少し扱いやすくもなります。
細かい操作のしやすさやプレースタイルによって、好きなほうを選ぶとよいでしょう。
さいごに
テニスのグリップ、とりわけフォアハンドのグリップについて取り上げました。
グリップは違和感を感じ始めるとすごく気になるものです。ウエスタンからセミウエスタンに変えるだけでもかなりの違和感がありますが、大丈夫です。それが普通です。
たとえグリップの感覚が気持ち悪くても、打点と面の向きが合えば、ボールは飛んでいってくれます。ただ、基本に忠実な握りでないと、変に手首をこねたりして怪我の原因にもなります。
なんかうまくいかないなと感じたら、まず打点やスイングから確認しましょう。打点は適切か、変なスイングになっていないか、ラケットはちゃんと振り切れてるか。
問題ないようならグリップを少しずらしてみると、スピンがかかりやすくなったり、コントロールしやすくなったりするので、ちょっとずつ変えてみるのもよいでしょう。
グリップは、よほど変な握りをしない限りは自分の感覚重視で問題ありません。