スポーツをやる上で避けては通れないのがマナー。
試合に出るまでにある程度覚えておくべきことであり、各スポーツのマナーをよく理解することはルール以上に大切だといえます。
ということで今回は、テニスのマナーについて取り上げていきます。
テニスのマナー 〜準備・片付け編〜
まずはレンタルコート周りのマナーについて確認します。
友人とテニスをしたり、各自で練習したりしたいときは市や民間のレンタルコートを借りるわけですが、そこには最低限のマナーが存在します。
とはいえ、当たり前のことばかりですし、わからなければ施設の人に聞けば大丈夫なので気楽にみてください。
レンタルコートの受付
電話やネット、あるいは現地で予約申し込みをして迎えた当日。
テニスコートに到着して、まずやることは事務所での受付です。大抵は受付用紙に氏名や住所を書いて、レンタル料金を前払いします。
当たり前ですが、受付の時間には余裕を持って、予約した時間の10〜5分前には受付に到着するようにしましょう。
受付がテニスコートから離れた場所にあることもあります。もし遅れるときは一本電話を入れるとよいです。
利用開始時間まで待つ
受付を終えてコートに向かうと、前の利用者がまだ練習中かもしれません。
その場合は邪魔にならない場所で待機します。仮に休憩していてコートを使っていないからといって、勝手にコートに入ってはいけません。
自分達の利用開始時間を過ぎるようであれば、その旨をやんわりと伝えて急いで片付けてもらいましょう。
道具・備品・コートを大切に
当たり前ですが、テニスコートにある備品は大切に扱いましょう。コートを掘り返したり、ネットを破いたり、審判台やベンチを蹴ったり、ブラシを雑に扱ったりしてはいけません(そんなやついないと思いますが)。ちなみに、ラケット・ボール・シューズは基本的に持参です。
利用終了後のコート整備
利用終了時間の10〜5分前にはプレーを終了してコート整備を始めます。
やることは
- ネットのワイヤーが傷まないようにハンドルを回して緩める(コートによってはネットを取り外して畳んで事務所に返却する)
- ブラシをつかってコート上の砂や足跡を綺麗にする(コートによってジグザグに掃く場合と、コート中心に向かってグルグル掃く場合があります。いずれにせよネット際からベースライン2〜3m後ろまで掃くようにします)
- 持参したボールやゴミを片付ける
次の利用者が待っている場合は一声「お待たせしました」と言って、速やかに退出するようにしましょう。
テニスのマナー 〜練習編&試合編〜
次に、練習中や試合中のマナーについてです。
被る部分が多いので合わせて説明していきますが、
練習中のみのマナーには練習中
試合中のみのマナー(練習試合含む)には試合中
練習・試合両方に共通したマナーには練習中・試合中
と表示しています。
時間厳守 練習中・試合中
練習だろうが試合だろうが開始時間は守りましょう。
試合の場合は、遅れるとサーブ権を失ったりゲームを失ったり、最悪の場合WO(失格)になります。試合前に自分の試合順を確認しておくようにしましょう。
試合開始の挨拶 試合中
練習試合でも公式試合でも同じです。ラケットトスしてサーブ/レシーブ or コートを選択し、「お願いします」と言って軽く一礼します。審判がいる場合には審判にも一礼。挨拶するときは当然帽子は取るようにします。
ウォーミングアップ 試合中
選択した(された)コートでウォーミングアップをします。練習試合はともかく、公式試合の場合は3分間のウォーミングアップとか、サーブを6本ずつとか、時間や内容が定められている場合があります。
時間がなくてもラリーは必ずしますが、ゆっくりしたフォアへのボールから始めるようにします。強打ばかりしないようにしましょう。また、ミスショットで遠くに飛ばして取りに行ってもらうときは一声謝るべきです。
もしボレー練習がしたいなら「ボレーお願いします」、サーブを打ちたいなら「サーブ行きます」とやはり一声かけます。
中〜上級者になると、この時間を相手の分析に使ったりしますが、分析のためだからといって走り回らせたりしないでください。
相手プレーヤーにボールを渡すとき 練習中・試合中
相手がネット際など近くにいるときはボールを手渡しします。ベースラインなど遠くにいるときは上から投げて渡すか、ラケットで打って渡します。渡すときはノーバウンドではなく、相手近くでワンバウンドして捕りやすいように、「ボールいきます」と一声かけて渡します。
これも当然ですが、相手が自分のほうを見てからボールを送るようにしてください。
ダブルスの場合は、ペアで一球ずつ持っているなら、サーバーから遠い人⇒近い人の順に「ボールいきます」と言って送るようにします。
サーブを打つとき 試合中
相手が準備できた(レディポジションに入った)ことを確認してからサーブを打ちます(これはサーブ練習中もそうですね)。準備してない状態で打ったサーブに対しては、レシーバーは「ノットレディ」と言えるのでサーブからやり直しとなります。
トスを失敗してやり直すことは認められていますが、せいぜい1回までにしましょう。失敗した場合は「すみません」と言って軽く手を挙げます。
また、ルール的な話をすると、サーブを打つまでの時間を守る(25秒ルール)、セルフジャッジの試合ではサーブ前にスコアを必ずコールするの2つを守るようにしましょう。
レシーブを打つとき 試合中
基本的にサーブ・レシーブはサーバー優先です。サーバーの打つテンポに合わせるようにして、早めに構えてサーバーを迎えるようにします。ただし、25秒ルールの範囲内なら違反にはならないので、できる範囲で構いません。もし靴紐を結ぶなど(たとえ作戦だとしても)時間がかかってしまったら、軽く手を挙げてからレディポジションに入りましょう。
また、円滑な試合進行とサーバーのテンポを守るため、ファーストサーブとセカンドサーブの間はできるだけ空けないように協力します。フォルトしたボールはネットに引っ掛けておくか、コートの後ろに流すようにするか、拾ってポケットに入れましょう。もし隣のコートに行ってしまった場合は、そのコートの人が後ろに流すか、ポイント終了後に渡してくれると思います。
相手のサーブがフォルトしたとき 試合中
繰り返しになりますが、相手のサーブがフォルトになったときは、邪魔にならないようにネットにかけるか後ろに流す、あるいはポケットに入れるようにします。ポケットに入れて落としてしまうとペナルティがあるのでそこは注意してください。
また、フォルトしたサーブを練習のように思いっきり打たない。もし相手に返してしまった場合は一言謝りましょう。
そして、隣のコートに行っても基本的には取りに行かず、ポイントが終わったら隣のコートの人に一言謝って取りに行くようにします。
軟式やとフォルトしたサーブでも返せるなら相手に返すのが普通。そのほうがあとでボール送る手間もなくなるし、「フォルトやからネットにかけな!」とかいちいち迷う必要もない。
これは未だに癖が抜けんで返してまうことがあるから、その度に謝ってるわ(´・ω・`)
チェンジエンド(コートチェンジ)のとき 試合中
コートチェンジ後に相手サーブになるときは、コートチェンジの際にボールを手渡しするか、相手のサーブするベースライン付近に2球まとめて置いておきます。
ボールチェンジのとき 試合中
3セットマッチ以上になると、途中でニューボールへボールチェンジする場合があります。ボールチェンジするときは、サーバーは相手に2球揃えて見せてボールが新しくなったことを示します。
他のコートを横切るとき 練習中・試合中
他のコートで練習や試合をしているときは、その練習や試合が途切れたとき(=ボールが行き来してないとき)を狙ってササッとコート後ろを通るようにします。
大勢の練習中にボールの絶え間がないときは、遠慮がちに急いで通るようにしましょう。
隣のコートからボールが入ってきたとき 練習中・試合中
プレー中の場合は転がってきたコートの後ろにそっと転がしておくか、拾ってからプレーの途切れるタイミングを待って渡します。相手のほうがボールに近ければ、こちらのプレーが途切れたときに「どうぞ」と言ってボールを拾ってもらいます。
試合中にボールが入ってきた場合は、審判が「レット」をコールすることでファーストサーブからポイントのやり直しとなります。
隣のコートにボールが飛んでいったとき 練習中・試合中
ボールを飛ばした人が基本的に取りに行く姿勢をみせましょう。試合中の場合は慌てて取りに行かずにポイントが終わった後に素早く取りに行きます。もちろん他のコートを横断するときはプレーが中断しているときにしてください。
ただ、ボールが隣のコートのプレーヤーの足元に行ってしまった場合は「危ないです!ケア!」と声をかけ、プレー中断後に一言謝って取りに行くようにしましょう。
相手にボールを当てたとき 練習中・試合中
相手にボールをぶつけてしまった場合は直ぐに大きな声で謝ります。たとえ相手の取りにくいボディ狙いで、狙い通りの結果だったとしてもです。
足元にボールが転がっているとき 練習中・試合中
「ボール危ないですよ、ケア!」と声をかけます。自分の足元のボールは邪魔にならないネット際やコート後ろにどかすか、拾ってポケットに入れます。
大人数でコートをつかうとき 練習中
周りの迷惑になるような大声を出さない、隣のコートに迷惑をかけないようにします。
多くのボールをつかうとき 練習中
コート同士が区切られていない場合は、隣のコートに極力ボールが流れないように注意し、流れたボールは放置しないようにします。練習内容によっては、転がっていくボールを防ぐための人を立てるようにします。
大声を出したりラケットを投げたりしない 試合中
大声で喜んでみせたり、相手を挑発したり、大袈裟にガッツポーズしてみせたり、ラケットを投げたりしてはいけません。場合によってはペナルティを受けます。
アドバイスを受けない 試合中
これはマナーというよりルールの範疇で、試合中にアドバイスを受けることは反則でペナルティが課せられます(ただし、雨などで試合が中断しているときは除く)。
意図的な遅延行為をしない 試合中
これもマナーというよりルールの範疇で、意図的に試合を遅らせることをしてはいけません。具体的にはサーブ間の25秒ルール、チェンジエンド間の90秒ルール、セット間の120秒ルールを守りましょうということです。あとはメディカルタイムアウトやトイレットブレークの時間制限があります。
審判や相手プレーヤーに対して不平不満を言わない 試合中
審判や相手プレーヤーへの暴言または挑発行為などは勿論ペナルティの対象です。
ナイスショットは称え合う 試合中
白熱した試合ではなかなか難しいことですが、相手のナイスショットにはラケット面にポンポンと手を打ちつけるように拍手して讃えましょう。結果的に自分の気持ちの切替えにもつながり、気持ちよくプレーできるはずです。
ミックスダブルスのとき 試合中
社会人までテニスをしていると、やる機会の増えるミックスダブルス(男性1名・女性1名のペアでのダブルス)。
相手の女性を速球で狙うことは特にマナー違反ではありません。敢えていえばモラルの問題でしょうか。
自分のほうが遙かに力量があるのに敢えて女性を速球で狙うのはモラルとしてどうかと思います。やったとして相手男性プレーヤーに目には目を歯には歯を、と狙われては同じことです。
ですが、技術的に自分と同等か格上の女性であれば、手加減しようなどと考えるほうが相手に対して失礼でしょう。
それでも強打で狙うのに抵抗があるのであれば「配球、コントロール、緩急、ポジショニング、駆け引き」で勝負するようにします。手加減するわけではなく、使う武器を変えるという話です。
男子ダブルスに較べて女子ダブルスは丁寧にボールをつなぐテニスをする傾向にあります。速球こそそれほどないもののびっくりするほどミスがありません。ストロークもボレーもしっかり繋いでミスをしません。
それゆえにコースや配球がものを言うテニスです。これは男子ダブルスをする上でも確実に必要なものです。速球だけの押せ押せテニスは面白くありません。
ひとつだけ暗黙のルールとしてよく見られるのが、ノーアドバンテージ形式(デュース無し)の試合でのマナーです。ノーアド形式の試合では40−40となったとき、リターン側がどちらのサイドでサーブを受けるか選べます。このとき、サーバーが男性ならレシーバーも男性、サーバーが女性ならレシーバーも女性となるよう選択することが多いです。
試合終了の挨拶 試合中
試合が終わればノーサイドです。相手プレーヤーと握手をし、ダブルスなら味方とも握手をし、「ありがとうございました」と相手や審判に敬意を払います。もちろん帽子を被ってる場合は外すようにします。たとえ試合で負けても不貞腐れた態度をとったりしないように!
最後に、試合でマナー無視の嫌なやつと当たることもあるやろうけど、そういう時は「残念なやつやな、自分はこうならんようにしよう」と反面教師として客観視できるようになるとええで。
ワイはなかなか難しくて乱されてまうこともあるし、いまだに思い出してはイライラすることもあるけどな笑。ま、何事も経験と成長やな。
テニスのマナー 〜観戦編〜
最後に、試合を観たり応援するときのマナーについて少しだけ。コート外での所作にはあらゆるものが滲み出ます。
選手ファースト
プレーヤーの妨げになりそうな行為は厳に慎みましょう。
拍手や応援はプレー間のみ
拍手や声援を送るのはポイント間のみです。サーバーが準備に入ったらお静かに。
ナイスプレーとミスプレー
ナイスショットに対しては大きな拍手を贈ります。一方、ミスでの得点に対しては軽い拍手で流します。野次やブーイングはやめてください。
また、応援している選手がミスしたりゲームを取られたりしても、出来れば溜め息など聞こえないように配慮してあげてください^^;;
フラッシュ撮影はNG
カメラ撮影がOKだとしても、フラッシュをたくのはNGです。可能なら音もないほうが良いです。
席を立っての移動
席の移動やトイレに行く、退出するなど、あらゆる移動は基本的にチェンジエンド(コートチェンジ)など試合が中断するタイミングでのみ可能です。
傘の使用
観客席が人で溢れているときは、傘の使用は危ないので控えるようにします。合羽を準備するのが吉です。空いてれば傘でも問題ありません。
さいごに
テニスのマナーについて、状況別に説明させていただきました。思ったより長くて自分でもびっくりです。
ですが、ルールより大切なことも多数含まれていますので、これからテニスをプレーしたり観戦したりされるのなら、徐々に慣れていってもらえれば嬉しいです。
試合において駆け引きは大事ですが、それと同じくらいマナーも大事です。苦境に陥ったとき、人の真価が問われます。誰かを貶めたり卑怯なことをしたり弱腰になったりせず、目的だけを純粋に見据え、できることに挑戦し続けたいものです。