テニスのコートチェンジのルールや、そのタイミングについて解説していきます。
コートチェンジとは「自陣のコートと相手のコートを入れ替えること」を指します。ネットで区切られた半面ずつのコートを、行ったり来たりくるくる回るのです。何故そんな面倒なことをするかといえば、風向き・太陽の向きなどの条件をなるべく平等にするためです。あと、合間に休憩を挟んだり明示的にゲームをリセットする意味合いもあります。
どんな自然条件下でも勝てる人が強いといえますが、なるべくならそういう外的要因による影響を減らそうとする目論見です。
さて、コートチェンジという言葉についてですが、若干の違和感を感じないでしょうか。「コート」を「チェンジ」するってまるっきり日本語ですよね(笑)英語で考えるなら「チェンジコート」とか「チェンジオブコート」が自然です。
ですが、これでもまだおかしくて「コート」という単語を使うと、別のコートを使う意味で捉えられてしまいます。コートを変えるわけですから。
なので、正しくは「チェンジオブエンズ(change of ends)」や「チェンジオーバー(change over)」といいます。自陣コートと相手コートのことをそれぞれ「エンド」と呼ぶわけです。ソフトテニスだと「チェンジサイズ(change sides)」とか言ったりしますが、まあ置いておきます。
ここから先は少し簡単にして「チェンジエンド」と呼ぶことにします。
チェンジエンド 〜1セットマッチ編〜
テニスのチェンジエンドのタイミングは、ルールオブテニス(硬式テニスのルールブック)で定められています。好き勝手に変わっていいものではないです。サッカーだと前半後半で1度入れ替えるだけですが、テニスは頻繁に入れ替わります。なので、チェンジエンドのタイミングを把握しておくことは大切です。
真っ先に覚えるべきは「奇数ゲーム終了ごと」にチェンジエンドするというルールです。1ゲーム終了後,3ゲーム終了後,5,7,9,11というように、合計ゲーム数が奇数のゲームが終わったときにチェンジエンドします。
自分の獲得ゲーム数と相手の獲得ゲーム数を足して奇数になったら、チェンジエンドすると覚えてもいいですね。1−0とか、1−2とか、3−2とかになったら、ベンチを経由して反対コートにまわります。1セットマッチの場合は、これだけ覚えておけば7割はOKです。
ちなみにというか、当然というか、念の為ですが、ダブルスの場合はペアの2人ともがチェンジエンドします。ペアの片方だけが移動することはありません。
タイブレークになったら
残りの3割のお話です。
通常、ゲーム中にチェンジエンドはしないものですが、タイブレークでは事情が異なります。タイブレークの細かいルールは別記事で解説するとして簡単におさらいだけすると、「ゲームカウントが6−6になったらそのセットの最終ゲームとして7点先取のゲームを行う」、これが一般的なタイブレークです。
通常ゲームが4点先取なのに対し、タイブレークは7点先取。デュースはポイントが6−6になったら、通常ゲーム同様に2点差がつくまで実施されます。
で、タイブレーク中のチェンジエンドですが「6ポイント終了ごと」に行われます。カウントが2−4とか、3−3とか、5−1とかになったらチェンジエンドです。
チェンジエンドのタイミングには実はもうひとつのルールがあって、「1ポイント終了後、その後は4ポイント終了ごと」にチェンジエンドというものです。1−0で交代、その後4−1とか5−4になったら交代するのですが、こちらのルールは滅多にみないので覚えなくても構いません。
休憩時間と注意点
あと、覚えておきたいのが休憩時間についてです。
チェンジエンドするための時間が定められており、その間は休憩しても構いません。具体的には「奇数ゲーム終了後(ボールがネットやアウトになった瞬間)から、次ゲーム最初のサーブを打つまで」の90秒間です。
この間、ベンチに座り、スポーツドリンクやエナジーゼリー・エナジーバーなど、好きなものを飲食することができます。
ただし!
第1ゲーム終了時、およびタイブレーク中のチェンジエンドでは、ベンチに座ることはできません。さっさと移動してさっさとプレー再開する必要があります。立った状態での水分補給までならOKです。
最後に次の話に繋がりますが、1セット終了後まだ試合が続く(3セットマッチ以上の)場合、セット終了後の休憩時間は30秒長い120秒間となります。TV中継だとこの間に1セットのサマリーを出したりしますね。
チェンジエンド 〜3セットマッチ編〜
さて、あまり馴染みのないであろう3セットマッチです。
基本的には1セットマッチと同じなのですが、残念ながら単純に1セットマッチ×3というわけにはいきません。1セット目⇒2セット目、2セット目⇒3セット目となるところで覚えないといけないことがあります。
2セット目をどちらのエンドから始めるか
1セットマッチの場合、奇数ゲーム終了後にチェンジエンドしました。そして2セット目に入るとき、このゲームカウントは引き継がれます。
つまり1セット目が6−0や2−6のように偶数ゲームで終了した場合、チェンジエンドせず1セット目終了時点のエンドから開始されます。
反対に1セット目が1−6や6−3のように奇数ゲームで終了した場合、チェンジエンドして1セット目終了時点と逆のエンドから開始されます。
タイブレークの場合はゲーム中に頻繁にエンドが変わりますが、終了時のゲームカウントは7−6あるいは6−7となり奇数です。なので、チェンジエンドしてタイブレーク終了時と反対のエンドから開始されることとなります。
1ゲーム終了後にチェンジエンドするか否か
2セット目に入るときにチェンジエンドしたなら、1ゲーム終了時のゲーム数のトータルは偶数です。なので、普通に考えればチェンジエンドしないように思えます。
ですが!
2セット目1ゲーム終了時点では必ずチェンジエンドします。なぜなら2セット目のゲームカウントが1−0あるいは0−1となり奇数だからです。
なお、2セット目1ゲーム終了後のチェンジエンドでは、1セット目同様ベンチに座っての休憩はできません。2セット目に入っての3ゲーム連続プレーはかなり応えそうです。
さいごに
よくやる1セットマッチでタイブレークにならなければ、もしくはタイブレークなしのルールなら、話はとても簡単です。奇数ゲーム終了後にチェンジエンドするだけ。
ただ、タイブレークに入るとサーブ順は変わるはチェンジエンドは挟まるわで大変です。ましてや3セットマッチだともっと大変。。
観戦するだけなら特に気にしなくてもいいルールですが、プレーするならなんとなくでも覚えておいてくださいね。忘れてても相手や審判が指摘してくれるので、特に大事なのは休憩時間を見誤らないようにすることです。