テニスのタイブレークのルールを解説していきます。
でもここを理解すれば総理解ももうすぐね。一緒にやっつけよう!
タイブレークってなんだ?
タイブレーク、それはタイブレイクとも呼ぶもの。英語で書くと " tie break " すなわち " TB "。
tie は均衡を表し、break は破ることを表す。つまり「均衡を破る」ための最終ゲーム、それがタイブレークなのです・・!
タイブレークは“first-to-seven”と呼ばれ、読んで字の如く 7ポイントを先に取ったほうがセットを獲る最終ゲーム です。12ポイントのうち、先に7ポイントを取ったほうが勝つことから「12ポイント方式」と呼ばれていたこともあります。
6−6になった場合はデュースになるから、12ポイントで終わるとは限らないんだけどね。デュースにならない限りは7−5とか12ポイントのうち先に7ポイント取ったほうが勝ちなのは確かね。
タイブレークに入る条件ですが、通常1セットは6ゲーム先取であるというルールを前提に、もう一つのルールとして2ゲーム差をつけなければならないというものがあります。
なので、6−4もしくは4−6でセット終了はありますが、6−5もしくは5−6でセット終了とはならないのです。
つまり、
- ゲームカウントが5−5になる。
- 次ゲームが終了して6−5になる ⇒ セット終了とはならない。
- 次ゲームが終了して7−5になる ⇒ 2ゲーム差がついたのでセット終了。
このとき、7−5で終われば良いのですが、6−6となる場合もあります。2ゲーム差がつくまで延々やるとすると、8−6とか9−7とか、ずーっとそのセットが続くことになってしまいます。これをアドバンテージセットといいます。つまり試合運営によって、6−6になったときにタイブレークを実施する場合とアドバンテージセットで進める場合があるのです。
昔はアドバンテージセットが主流でした。しかし、そうすると何が起こるかというと、テレビの放送枠に収まらなくなったり、次の試合が同日中に実施できなくなったりするのです。時間制限のないテニスならではの問題です。
こういった状況を鑑みて1965年にアメリカのジェームズ・ヴァン・アレンによって考案されたのが「タイブレーク」で、1971年のウィンブルドンから実施が始まりました(この時は8−8になったらタイブレークとするルールでした)。そして現在、最も主流な6−6となったらタイブレークとするルールは1979年に生まれました。
議会などで賛否同数の場合、議長の一票で賛否を決める議長決裁を「タイブレーク」というそうです。まさにTie(拮抗している状態)をBreak(破る)ですね。
タイブレークでのサーブとチェンジエンド
タイブレークは最終ゲームかつ7点先取と、通常ゲームと較べてずっと重要度が高いです。1ポイントの重みが違います。一票の格差です(議会で賛否同数のとき、議長の鶴の一声で決まる議長決裁のことをもともとタイブレークと呼びました)。
そんな体力的にきつい最終局面で通常ゲーム同様、一方のプレイヤーが有利なサーブを打ち続けることは競技としての公平性に欠きます。
そんなわけでタイブレークでは頻繁にサーバーの交代やチェンジエンド(コートチェンジ)が実施されるのです。ここがテニスのルールのなかで最もややこしい部分ではあるのですが、雰囲気だけでも押さえておきましょう。
サーブの順番
タイブレークでの最初のサーブは、そのセットの始めにサーブしたプレーヤーが打ちます。
そして最初にサーブするプレーヤーは1ポイントだけ、以降は2ポイントずつサーブを打って交代していきます。
ややこしいので、あとで図でまとめます。雰囲気だけつかんでください。
サーブを打つ位置
タイブレークでの最初のサーブはデュースサイドから打ちます。これは通常ゲームと同様です。
しかし、1ポイントでサーブ交代となるので、その後サーブを打つプレーヤーはアドサイド⇒デュースサイドの順にサーブを打つことになります。
1ポイント目・・・自分がデュースサイドから
2ポイント目・・・相手がアドサイドから
3ポイント目・・・相手がデュースサイドから
4ポイント目・・・自分がアドサイドから
と1球目以外、アドサイドから始まる。
ダブルスの場合は
1ポイント目・・・Aがデュースサイドから
2ポイント目・・・Cがアドサイドから
3ポイント目・・・Cがデュースサイドから
4ポイント目・・・Bがアドサイドから
という感じ。
合わせて図でまとめますので雰囲気が大事です。
チェンジエンドのタイミング
サーブだけでも十分ややこしいのですが、ここに6ポイントごとのチェンジエンド(コートチェンジ)が挟まります。1−5とか2−4とか6−6でチェンジエンドでします。デュースにならなければ1回で済むので、やはり雰囲気が大事です。
小まとめ
タイブレークでのサーブとチェンジエンドについて順に図でみていきます。サーブの立ち位置がフットフォルトしてるとか、図が少々おかしいですが目を瞑ってください(;´∀`)
シングルスの場合
7ポイント目〜12ポイント目までは、AとBが入れ替わった状態での1ポイント目〜6ポイント目と同様です。
デュース(13ポイント目以降)に入ると、リセットされて1ポイント目の状態に戻るイメージです。そこからの進行も同様で、先に2点差をつけたほうがセット(マッチ)獲得となります。
こうしてみると6ポイント周期でのチェンジエンドは意外と理に適ってると思いませんか?
ダブルスの場合
シングルスより大分煩雑ですね(;´∀`)
ですが規則性はあります。まずレシーブのサイドはAとCはデュースサイドで固定、BとDはアドサイドで固定されています。セット終了後の変更は可能ですが、同一セット中は固定しなければなりません。
その上で表にサーブレシーブをまとめると、
ポイント | サーバー | レシーバー | 備考 |
1 | A | C | |
2 | C | B | |
3 | C | A | |
4 | B | D | |
5 | B | C | |
6 | D | B | チェンジエンド |
7 | D | A | |
8 | A | D | ABCD全員が2回ずつサーブ完了 |
9 | A | C | |
10 | C | B | |
11 | C | A | |
12 | B | D | チェンジエンド、各ペア6回ずつサーブ完了 |
13 | B | C |
8ポイント目でABCD全員がデュースサイド、アドサイド両方からサーブを打ったことになります。従ってエンドこそ代わるものの、9ポイント目は1ポイント目と、10ポイント目は2ポイント目と同じです。そして、13ポイント目(デュース)になると、チェンジエンドを2回したので、5ポイント目とエンドも含めて全て同じになります。以下繰り返しです。
図を使ってもややこしいのですが、何度かプレーしてるうちに掴めてきます。一度、図を見ながら自分がプレーヤーA(BCDでも可)になったつもりでシミュレーションしていただくと雰囲気を掴みやすいかもしれません。
タイブレーク終了後はどうするの?
タイブレークが終わるとゲームカウントは7−6あるいは6−7となります。1セットマッチなら当然これで試合終了です。次のセットがある場合は合計ゲーム数が13と奇数になるので、120秒の休憩を挟んでからチェンジエンドします。
ポイントは、タイブレーク終了時と反対のエンドから開始されること。開始後はゲームカウントがリセットされるので、通常通り1,3,5ゲームと奇数ゲーム終了後にチェンジエンドしていきます。
また、次のセットでのサーブは、タイブレークの1ポイント目でレシーブした人(ペア)から始めます。ダブルスのペア内でのサーブの順番とレシーブのサイドは、それぞれ前のセットから変更することもできます(とはいえ前のセットと同じにするペアが大半です)。
タイブレークでのコールとスコアの書き方
長丁場お疲れさまでした。あとはおまけみたいなものです(^^)
続いてタイブレークでのコールの仕方とスコアの読み方についてみていきます。
カウントコール
通常ゲームでは15, 30, 40とカウントしますが、タイブレークは7点先取です。
ですので、15, 30, 40ではなく、単に1,2,3(ワン、ツー、スリー)とカウントします。
また、通常ゲームではサーバーのポイント⇒レシーバーのポイントの順に読み上げますが、
タイブレークではポイントの多いほうから順に、多いほうのポイント⇒少ないほうのポイント⇒多いほうの選手名の順に読み上げます。
例えば、サーバーAが3点、レシーバーBが5点だとすると、
「スリー・ファイブ・B」
のようにコールします。
レシーバーAが4点、サーバーBが6点なら、当然、
「シックス・フォー・B」
ですね。
通常ゲームと同じようにサーバー⇒レシーバーの順に読み上げないのは、頻繁にサーブが代わるためです。
しかし、これは中立の立場でみている審判あってのことです。セルフジャッジの試合ではサーバーがカウントを読み上げるので、タイブレークであってもサーバー(自分)のポイント⇒レシーバー(相手)のポイントの順にコールします。自分のポイントから「スリー・ワン」とかですね。
スコアの読み方
通常「4−6」とか「7−5」とかゲームのスコアが書かれているところで、「7−6(5)」のようなスコアを見たことはないでしょうか。
はい。このカッコ内の数字が示すのは、タイブレークを取られたプレーヤーのポイントです。タイブレーク限定のカッコなので、7−6か6−7のゲームカウントにしかつきません。
7−6(5)の場合、タイブレークを落とした選手の得点が5なので、タイブレークのスコアは7−5だったとわかります。
6(10)ー7だったらどうでしょうか。
はい。タイブレークのスコアはデュースに突入して10−12だったということになりますね。
公式試合でのタイブレーク
最も一般的なタイブレークはお伝えしてきたように、ゲームカウント6−6になったら7点先取とするものです。
しかし、草トーナメントや地区の大会、県大会、もっと上位の大会等。使える時間とコートの面数、選手の数、運営や審判人員の人数等など、様々な要件から時間短縮のための特別ルールが採用されることもままあります。
どんなルールが用いられるかは大会要項を事前に確認するようにしてください。ここではよくある用語をご紹介します。
- 6オールタイブレーク
最も一般的な6−6になったらタイブレークのルールです。試合時間短縮のためにデュース無しのノーアドバンテージ方式、あるいは各ゲームデュース1本までのセミアドバンテージ方式が併用されることもあります。
- 8オールタイブレーク(8ゲームズプロセットとも)
1セット8ゲーム先取とする試合形式です。8−8になったらタイブレークを実施します。3セットマッチの代わりに用いられることが多いです。
- マッチタイブレーク(7ポイントマッチタイブレークとも)
3セットマッチ以上で、ファイナルセットの代わりとしてタイブレークを実施するルール。セットカウントが1−1になると、通常もう1セット実施するところを、タイブレークのみで決着をつける。
- 10ポイントマッチタイブレーク(スーパータイブレーク、ファイナルタイブレークとも)
3セットマッチ以上で、ファイナルセットの代わりとしてタイブレークを実施するルール。ただし10点先取で、カウントが10−10になるとデュース。サーブ順やチェンジエンドのタイミングは一般的なタイブレークと同様。
グランドスラムにおけるタイブレーク
最後にテニスの4大大会、グランドスラムでのタイブレークについて少し触れておきます。
グランドスラム(男子シングルス)は5セットマッチで、ファイナルセット以外は一般的なタイブレークが採用されています。
しかし、ファイナルセットだけは特別でそれぞれ事情が異なり、2019年に大きくルール変更された大会もあります。表でまとめてみました。
2018年まで | 2019年以降 | |
全英オープン(ウインブルドン) | アドバンテージセット | 12オールタイブレーク |
全仏オープン | アドバンテージセット | アドバンテージセット |
全米オープン | タイブレーク※ | タイブレーク※ |
全豪オープン | アドバンテージセット | 10ポイントタイブレーク※ |
※ マッチタイブレークやスーパータイブレークではありません。ダブルスやATPワールドツアーで採用されているケースはあります。
表の通り、2018年まではアドバンテージセット(ファイナルセットで2ゲーム差がつくまで終わらない)が主流だったのが一転、2019年からはタイブレークが主流となりました。ルール変更したのは全英と全豪で、全英オープンはファイナルセットでゲームカウントが12−12で並んだときにタイブレーク(7ポイント先取)を行うというもの、全豪オープンはファイナルセットでゲームカウントが6−6で並んだときにタイブレーク(10ポイント先取)を行うものとなりました。
ちなみに国別対抗戦(テニスの世界大会団体戦)のデビスカップやフェドカップは2018年以前にアドバンテージセットからタイブレークに変更となっており、これらの主要大会でファイナルセットにアドバンテージセットを採用しているのは今や全仏オープンだけとなったのです。
スコアがなんと、6-4, 3-6, 6-7, 7-6, 70-68の3日がかり、総試合時間は11時間5分やったそうや。。常軌を逸してんな。ちなみにニコラ・マユは2019年にダブルスでキャリアグランドスラム(生涯で4大大会制覇)を達成したスゴい選手なんやで。
さいごに
タイブレークは慣れないうちは難しいですが、やっているうちに流れが見えるようになります。
大人数でコートを使用する場合などでも、短時間でサーブを回すことができ重宝されますね。
また、相手のサーブゲーム(相手有利)を取ることをブレイクといいますが、タイブレークで相手サーブのポイントを取ることをミニブレイク(ミニブレーク)と言います。この言葉からもわかる通り、タイブレークは1点1点が最重要ポイントといっても差し支えありません。
そんなヒリつくような1ポイントの争いを雑念なく楽しむためにも、徐々にでもルールを理解しておきましょう。